2017年8月17日木曜日


夏休みも後半戦 考える力はついてきましたか?

1 どんな2学期にしたいのか 考える力はついてきましたか?

 7月20日のブログで、「成長する夏休みに―考え、選択し、自己決定―」という内容のものを載せました。「めんどくさい」「やりたくない」「かったるい」と言って、何もやりたがらない子どもがいます。さて、あなたならどうしますか。仕方ないからやってあげるのか、やりたくないなら、そのままにしておくのか、きつく叱って叩いてでもやらせるのか。いくつかのやり方を書きましたが、どれも子どものためにはならない回答です。大切なことは、やりたくないことをやらせるためにはどうしたらよいか、拒否する子どもに質問することです。そんな子がいたら「あなたならどうする?」

 「人は質問されると考える」ものです。相談されるとそれなりに考えて答えを出そうとするものです。それが第一歩です。

 その結果、やる気が出てくるということは、「理想の自分に近づく」ということです。

自分はどんな自分になりたいのか。「理想の自分の姿」を具体的にすることです。「勉強がもっともっとわかるようになりたい」「スポーツが得意になりたい」「たくさん友だちがほしい」などなど、「なりたい姿」があるはずです。では、どうしたらその姿に近づくことができるのかを、3つのステップで考えていきましょう。



今の自分はどんな自分⇒何ができている、何ができていない⇒どう行動したらいいのか

理想の姿に近づくために、何を目標にするかを考える。⇒そうなるためにはどうしたらいいかを具体的に考えて行動する

理想のなりたい自分に近づく。⇒もっともっと理想の姿になるためには、どうしたらいいかを具体的に考えて行動する。

 読んでみてわかると思いますが、「理想のなりたい姿」は、「理想のなりたい姿」に近づくために考え行動すればするほど、「もっともっと理想の姿」が大きくふくらんできます。近づけば近づくほど、どんどん成長して大きくなっていくということです。成長は目標ではありませんから、達成することはありません。いくらでも成長し続けます。成長は永遠と言えます。成長に限界はありません。

 2学期は、どんな自分になりたいのか。今の自分はどうなのか。理想に近づくためには、まず何をどこからやり始めればいいのか。やり始めれば、永遠の成長サイクルに入っていきます。

 どんな子どもも成長することはできます。大切なのは、そうなるための考える手順がわかっているかと言うことです。自分で自分に質問してみましょう。



「今のままの自分で楽しいのかな」「今のままの自分に満足しているのかな」⇒「本当はこんな姿になりたいんだよな」「こんなふうにできたらいいな」⇒「今の自分は何が苦手なのかな」「何が足りないのかな」⇒「理想の姿に近づくためにまずは○○からやっていこう」⇒「次に◆◆もやってみよう」⇒「だんだんできるようになってきたぞ」「やれば自分もできるじゃないか」⇒「次はこんなこともやってみたらいいんじゃないかな」⇒「成長してきていることが実感できてきたぞ」「成長に終わりはないんだな、うんうん」

 



自分で考える⇒選択する⇒自己決定する。決定したことには、責任を持つ。

全てはあなた自身のことですよ。あなたがやらないで、だれがやれるのですか。

 

2 生活のリズムを整えましょう

早いもので、40日以上あった夏休みも、残り2週間ほどになりました。そろそろ生活のリズムを学校用に変えていく時期です。子どもたちの中には、学童保育に朝から行っているため、生活のリズムはできているという人もいると思いますが、そうでない人は、起床時間を夏休み前に戻すことから始めましょう。

夏休み中、朝ゆっくり起きていた人は、学校が始まっても登校するのがつらくなり、「今日は休む」「頭が痛いから、起きられない」「学校まで一緒に行ってあげるから、早くしなさい」などの声が夏休み明けは、聞こえてきそうです。そうならないためにも、夏休み前の学校があった時の時間には起きるようにするなど、まずは起床時間を夏休み前に戻しましょう。

3 寝る子は育つ

起床時間を早くするということは、夜寝る時間を早くするということです。遅く寝て早く起きるのはつらいでする。小学生と言う時期は、特に睡眠が大切です。睡眠は、体の成長、集中力、記憶力にも関係しています。昔から、寝る子は育つと言われていますが、現在は、科学的な根拠が実証されています。低学年なら10時間近くは睡眠時間がりそうてきです。高学年なら9時間が理想的だそうです。中学生以上になると、8時間程度でもよくなるそうです。

学力との関係も明らかです。睡眠時間が5時間未満と9時間程度では、国語と算数の得点に20点近く差が付いたというデータもあります。

さらに、睡眠不足だとイライラしたり、キレやすくなるといわれています。睡眠はとても大切です。

 

2017年8月9日水曜日


読書感想文、どうしたら書けるようになるの?

(あくまでも一例です。参考としてご覧ください)

1 はじめは、「わからない」から

「この話を読んで、思ったこと、感じたこと、疑問に思ったこと」などをノートに書きましょう、という授業を国語ではよく行います。なぜこのようなことをするのかと言うと、子どもたちがはじめて読んだだけで、どんなことが理解できて、どんなことがわからなくて、どんな疑問を持っているのかを知り、これからの授業に反映させていくために行います。だから、わからなくても心配ありません。

 一度や二度読んだだけで、内容が理解でき、主人公の気持ちの変化が理解でき、物語のテーマがわかってしまうという子どもは、限られています。幼いころから読み聞かせを多くしたからと言って、読み聞かせを多くしてもらった子どもがすべてわかってしまうということはありません。ただし、全国学力・学習状況調査結果では、読書と学力の関係が明確に結果として出ていますので、興味のある方は、「全国学力・学習状況調査結果」等で検索してください。本を読むことが好きな子どもは、正答率も高くなっています。

 

2 うちの子は本を読まないから、ではないのです

 本を読まない子に共通していることは、話を最後まで聞けなかったり、落ち着きがないということです。読み聞かせの良さとしてあげられるのは、読み聞かせは視覚情報が少ないこと。そして、音声情報を集中して聞かないと、内容がわからないことから、静かに話を最後まで聞くようになるということです。物語は、最後にまとめやどんでん返しがあるので、最後まで聞かないと物語の面白さを味わうことができないということです。だから、本を読むのが好きと言う子どもは、「落ち着いて話を最後まで聞くことができる」「イメージを作り考えたり想像する」だから、「どんなことが書かれているかがわかる」ということになり、授業に置き換えると、「先生の説明を最後まで聞く」「教科書をきちんと読む」「問題文を最後まで読んでから問題を解く」「何を質問しているかがわかる」「グラフやデータが何を伝えているかわかる」などから学力も高くなるということです。言われてみれば当たり前のことですよね。本を読んでいないから、正答率が低いということではありません。ただ、「本を読ませればよい」ということではありません。

 

3 読書感想文完成までの手順

(1)題名に注目しましょう

 題名は、作者が読者に伝えたいことをコンパクトにまとめたものです。学年の課題図書や題名を見て、気になったものを取り上げてみましょう。なぜ気になったのかが感想文の感想の第一歩です。初めにこの本を選んだ理由を書くことにつなげられます。また、最後に作者が題名に込められた思いにもつなげることができます。

例 私はこの本を選んだきっかけは題名を見て・・・と初めは思っていた。しかし、最後まで読んでみると、作者の題名に込められた思いが伝わってきた。作者は、私たちに・・・を伝えたいと思ったのだと感じた。

(2)最初はあまり厚くない本を

 読書が苦手な子には、厚くない本から選ばせましょう。厚いだけで読む気がなくなります。あくまでも子供に選ばせること、選択権と決定権を与えることで、責任感へとつなげましょう。「自分が決めて選んだ本」という姿勢が大切です。

(3)本の帯に注目しましょう

 課題図書をはじめ、文庫本にも本に帯がかけてあり、内容が簡単にまとめてあります。また、帯がなければ、表紙の裏や裏表紙に簡単なストーリが書かれています。その情報を活用します。その情報には、主人公の名前が書いてあり、出来事のきっかけ、出来事、そして主人公は、と言うようなことが書かれています。書かれていなければ、ネットで検索すると出てくることもあります。

 本を読むのが苦手な人の中には、登場人物が何人も出てくるとだれがだれかわからなくなって読む気がしないという人がいます。このタイプの人は、登場人物一人一人に注目してしまうことでこのようなことが起こります。大切なことは、主人公ただ一人です。これくらい割り切って本を読み進めましょう。本を読むのが苦手な人は、主人公の名前を○で囲ったり、線を引くとわかりやすいです。同時に「どうした」「どうなった」にも線を引くと、「主人公はどうした」が目で見てわかるようになります。

 また、本の帯などを参考に、出来事のきっかけは何か、どんなこんな出来事が書かれているのか、どんな展開になるのかなと想像してみるといいでしょう。

例 本の帯には、・・・と言うことが書かれていた。(写すだけで文字数が稼げます)私は、本の帯を読み、この後、主人公が・・・・する話が展開されるのかと思った。しかし、・・・

4)出来事のきっかけと理由をつかもう

 ①主人公はどんな人?

 出来事のきっかけまでに、だいたいの物語の場合は、主人公についての性格や家族や年齢、立場、考え方などについて書かれています。また、主な登場人物も出てきます。そこで、(3)で主人公について○で囲ったり、線を引いたところをもとに、どんな人なのかをつかみます。ここでのポイントは、学級や今まで出会った人の中で、だれタイプの人かをイメージすると、わかりやすくなります。そうすることで身近に感じるものです。また、自分と比較しやすくなったり、具体的な体験や経験につなげることができます。

 ②出来事のきっかけと理由

出来事のきっかけはとても大切です。そして、なぜそうなったのかも大切です。理由の部分は、主人公の今までの生活と結びついていることが多いので、きっかけと理由はセットにして読みましょう。主人公の行動の中に理由はあります。理由のない行動のきっかけはありません。だからこそ、主人公を○で囲ったり、線を引くことが大切なのです。

例 出来事のきっかけは、・・・が起こってしまったからだ。それが起こったきっかけは、主人公である○○が・・・・したことが、はじまりのようだ。○○は□□のときに、▼▼の行動をとるようなひとで、周囲の人となかなか打ち解けるのが苦手な人のように私は感じました。それは人見知りの私と似ているところがあるように思いました。

(5)出来事と経験

 出来事は、物語の中で最も盛り上がる重要な部分です。主人公がとった行動に対して、自分にも似たような気持ちになった経験、体験があれば、丁寧に書きましょう。この部分で感想文の文字数をかせぎましょう。

例 □□と言うことがきっかけで、主人公○○は▼▼の行動を起こした。私にも似たような思いをしたことがある。それは、いつのどんな出来事でした。ある日私が・・・

6)もしも・・・

 主人公の行動に対して、「もしも」主人公が違う行動をしていたらどんな結果が起きたと思うのかを書いてみましょう。私だったらという視点ではなく、主人公が別の考えを持ち、違う行動をとっていたら、そのあとの話はどんな終わり方をするのかを考えてみましょう。それが次の作者の思いとなる物語のテーマにつながってきます。

例 主人公○○は、このような行動をすることで、このような結果になった。主人公がこのように行動するまではいろいろ悩み、苦しんで決めたことだろう。しかし、もし、主人公が・・・と言う行動をとっていたら・・・と言う結果になっていたのだろうか。

(7)主人公が最後に取った行動と作者の思い

 出来事に対する主人公の行動は、作者が読者に伝えたいことを伝えるために取らせた行動です。だから、最後に取った行動はとても大切なことで、作者が最後に伝えたかった思いと重なってきます。作者の伝えたかった思いをしっかりと書きましょう。

例 作者がこのような行動を主人公にとらせたことで、私たちに・・・と言うことを伝えたいのではないかと思う。先ほど、もし主人公が・・・行動をとっていたら・・・な結末になったのかもしれない。しかし、作者は、そうではなく・・・の行動をとらせたことで、・・・を強く伝えようとしたのだと思った。

(8)素直な思いが

 読書感想文で大切なことは、読み終わった後の自分の素直な気持ちが書かれているかと言うことです。いったい、だれが書いた感想文かわからないような感想文よりも、その人らしい素直な思いが書かれている感想文が一番良い感想文です。

例 私は、普段本はあまり読まない。だから、今回も宿題だからという気持ちでこの本を選んで読みました。初めは題名を読んで・・・の話かと思っていましたが、本の帯を読み、・・・に興味を持ちました。そして、この本を読んで作者が伝えたい・・・という思いを受け取ったように感じました。これからもあまり本は読まないかもしれませんが、・・・という思いは、これからも私の心の中で生きていくと思います。

 

2017年8月4日金曜日


考える力をつける夏休みに

 早いものでもう8月。まもなくお盆休み。11日頃より帰省ラッシュが本格化するそうです。つまり、子どもたちにとっても本格的な夏休みと言うことになるでしょう。夏休みに入り2週間が経ち、お盆休みに入る前にぜひ考えてほしいことは、「考える力をつける」と言うことです。

1 子どもたちの未来は

社会の早すぎる変化、あふれる情報、先の見えない将来と言われる時代。ユーチューバーが子どもたちのあこがれる職業となった今。そして、だれも見たことがない社会に向かい突き進んでいく現在。成功モデルのない未来に向かう中に生きていく子どもたちにとって、何よりも大切なことの一つとしてあげられるのが、「考える力」です。

 また、2020年は、東京オリンピック・パラリンピック開催の年であるだけでなく、2020年度より大学入試が変わります。また、2020年度より小学校では新しい学習指導要領が全面実施されます。そして、2021年度より中学校、2021年度より高校の学習指導要領も変わります。つまり、大学受験が変わるということは、高校受験も変わるということです。

 

2 「わからないからやらない」を無くすためには

さて、「考える力」を身に付けさせるためにどうしたらよいかと言うと、「自分で考えなさい」と言うことではありません。いきなり「自分で考えなさい」と言われても、「考え方の手順」がわからないと、考えられず、「わからないからやらない」となってしまいます。

大切なことは、「考える力」を身に付ける手順です。

 

3 「考える力」を身に付ける手順は

 例えば「関ヶ原の戦い」。何年にどんなことが起きたという浅く広い知識を身に付けただけでは、「知っている」で終わってしまい、「考える力」につながりません。

「何年にどんなことが起きたの」(内容)⇒「何で起きたんだろう」(理由)⇒「そのあとどんなことが起きた」(影響)⇒「その結果どうなった」(結論)という「考え方の手順」が大切です。

問 関ヶ原の戦いとは何なの?(内容)
この事件は、1600年、徳川家康を中心とした東軍とそれに反対する石田三成、毛利輝元率いる西軍が関ヶ原で戦った。 
問 なぜ関ヶ原の戦いが起きたの?(理由)
信長の死後、秀吉に関東に移されていた家康は、がまんにがまんを重ね、天下をねらっていたから。
問 関ヶ原の戦いによって何が起きたの?(影響)
天下分け目の戦いとなった関ヶ原の戦いを制した家康は、その後、征夷大将軍となり江戸幕府を開いた。
問 その結果どうなったの?(結論)
敵対する豊臣派を一度にやっつけることができ、家康は確固たる権力を手に入れた結果、その後明治維新にいたる前の、270年近くに及ぶ江戸時代が続いた。

例えば「キョン」

問 「キョン」とは何?(内容)
中型犬ほどの大きさのシカ。千葉県で大繁殖。2002年は1000頭ほどが、2016年は、約50,000頭まで増加。
問 なぜ、そんなに増えたの?(理由)
 2001年に閉鎖された勝浦の民間施設から1980年ころ逃げ出してから、天敵のオオカミやクマがいないことと、繁殖力が強いため急激に増加した。
問 急激に増えたためになにが起きたの?(影響)
 駆除が追い付かず、生息範囲が山から住宅地まで広がってきている。
問 その結果どうなったの?(結果)
 捕獲が追い付かず、14年間で50倍まで増えてしまい、今後は、住宅地に表れ花や草を食べ、フンをまき散らし、大声で鳴くばかりではなく、「マダニ」などの危険生物が「キョン」をとおし人間の命を危険に脅かすことにつながる。

 

4 「考える力」を身に付けることは、「人に説明する力」を身に付けること。

 「考える力」を身に付ける手順は、まさに「人に説明する手順」でもあります。言い換えれば、「考える力」をつけることは、「人に説明する力」をつけることにほかなりません。

 今後も日本の人口減少が明確となり、ますます、諸外国の人たちと文化や国籍の違いを乗り越えてともに仕事をすることが当たり前となる時代が来ます。そこで大切なことは、「説明する力」です。「考える力」を身に付けることは、将来仕事をするうえで欠かすことのできない「説明する力」をつけることになります。

 

 夏休みも、8月となり終わりが見えてきました。「考える力」をつけることは、「考える」習慣をつけることです。考え方の手順を守って実行すれば、必ずだれでも「考える力」「人に説明する力」がついてきます。「論理的思考力」は自然に身に付くものではありません。日々の積み重ねが「論理的思考力」を育てていくのです。